国立大学法人東北大学 マスプロ電工株式会社 中央電子株式会社
1,犯罪の実例
誰でも簡単に爆発物を作ることができてしまう環境
● 肥料や日常生活用品など簡単に入手できるものが原料
● インターネットなどで製造方法を簡単に入手できる
● アメリカ9.11同時多発テロ(2001年9月11日)
→航空機内への爆発物持込みによる犯罪
● イギリス ロンドン旅客機爆破テロ未遂事件(2006年8月9日)
ロンドン発アメリカ行き旅客機(最大10機)の爆破を阻止
→航空機内への液状爆発物持込みによる犯罪未遂
● デルタ航空機爆破テロ未遂事件(2009年12月25日)
スキポール空港(オランダ)の警備をくぐり抜けて搭乗
→航空機内への爆発物持込みによる犯罪未遂
その他、国外から危険物(プラスチック・液体)持込みによる犯罪多数
2,問題点 -危険物の持ち込み方法-
危険物を衣服の背後に隠匿可能
「誰でも」隠し持てることが脅威
ボディータッチは嫌がられる
検査官が危険にさらされる
宗教上の理由で身に付けている物の取り外しが困難な場合がある
誰でも簡単に爆発物を作ることができてしまう現代
液体や粉末などの非金属(金属探知機で探知できない)が主原料
原料は肥料や日常生活用品など簡単に入手できる場合が多い
インターネットで製造方法を入手できる
航空法86条で規制されている危険物をはじめ危険物は日々拡充されている
3,問題点 -現状の防護策-
金属探知機
→金属以外のものを探知できない
X線バックスキャッター
→放射線を照射するため人体には有害
→見え過ぎる
テラヘルツ波
→透過率が低く、分厚いジャンパーなどの画像が不鮮明になる
→テラヘルツ高周波部材を使用するため、ミリ波装置よりも高価
ミリ波アクティブ撮像方式
→見え過ぎる
近年、欧州で「全身透視スキャナー」を導入している空港において女性の透視映像をみだらに見て、警察から警告を受ける事態も起き ている
4,ミリ波パッシブ撮像装置のご提案
金属探知機では発見できない危険物を検知
人体への影響がない検知方法
個人のプライバシー保護
(光学画像に検知物をマーキング)
→本人に画像を確認して頂くことで(安全・安心に)参加して頂く開放的な検知の考え方
ミリ波の性質
人体や金属、液体などから、ミリ波帯の信号が「熱雑音」として常時放射されていることがわかり、研究が進められている。
熱を持つ人間から放射される熱雑音は、物体の熱雑音より強い
炎、煙、ちり、霧、雲、雨、ベニヤ板、石膏ボード、紙などを通しても検知ができる
5,パッシブ方式の特長
無害 -人体への影響がない-
被写体が熱雑音放射するミリ波を受信するだけのため無害
オープンなシステム -被験者本人も確認できる-
マーキング表示でどこを検知されているかが分かる
個人のプライバシーを保護
訓練された専属オペレーターは不要、オペレーターのスキルに頼ることなく検査できる
不審物マーキング表示 -画面上で不審物の位置が分かる-
ミリ波イメージング画像に、不審物の位置をマーキング表示(赤丸)をさせる
100mlペットボトルの検知が可能
不審物反応があった場合、本人に自覚を促し該当箇所を本人に確認して頂く
非接触 -被験者に触れなくてもよい-
被験者に触れることなく撮像できる
被験者の服装を問わず、脱衣などの要求が不要
検査官の安全、被験者のプライバシーを確保
国内製である
故障時の迅速なメンテナンスが可能
6,設置実例(実証実験)
ボディスキャナー実証実験概要
・期間 2010年7月20日(火)~24日(土)
・場所 成田国際空港 第1ターミナルビル南ウイング保安検査場前
・参加体制
【責任機関】東北大学、【参画機関】マスプロ電工株式会社、中央電子株式会社
・実験目的 検知能力評価、プライバシー保護等の課題抽出など
・[国土交通省ボディスキャナー実証実験実行委員会主催]
参考資料
- ミリ波パッシブイメージング装置の開発と実用化(PDF 823KB)
(文部科学省「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」)