雪道での走行

〜チェーン装着時・その他〜


主にスキーや観光等で不慣れな雪道を行く時に..

目次

FR 車
FF 車
4WD 車

全般
チェーン選び


初めに..

最近はスタッドレスタイヤ全盛ですので、チェーン装着車は減りつつ有ります が、様々な事情によりチェーンでの走行をする場合もそれなりにあります。一 番代表的と言うか数が多そうなものは夏タイヤに駆動輪チェーンといっ たパターンでしょうが、ミラーバーン等の極端にグリップの低い路面でスタ ッドレスに駆動輪チェーンと言ったシチュエーション等も有ります。そう した各輪のグリップ差が極端に違う場合の運転についてです。

いずれにしても雪道での基本は、速度を抑えて前車との車間距離をやや大きく 取って走る事ですよね。急な追い越しを掛けてくる車はパワーに遊ばれて目の 前で蛇行したりする事が有りますし、多くの車が停止する交差点手前等では意 外に制動距離が伸びて止まり難かったりする事も有ったりと、予期せぬ事も多 いので周囲の状況も含めて充分に気を付けましょう。

まあ雪道での心得的な事は色々な本や周囲の人の経験談等で得た方が早いでし ょうから、以下は実際にチェーンを装着して走る時の走り方に絞ります。


FR 車:

車は一般的には、かなりの割合を前輪に頼っています。カーブを曲がるのもそ うですしブレーキングを行なうのもまたしかりです。FR 車で後輪のみチェー ンを装着した場合、この多くの役割を担うべきフロントタイヤのグリップ に殆ど期待が持てませんので、自ずと或る程度特殊な操作法となる事をま ず念頭に置いて下さい。
まあ、FF 車の前輪チェーンの様に加速は良いけれど も減速で突然後ろを向いてしまったりしない点では FR の方が安心と言えば安 心ですが..

FR で二輪のみチェーンを装着した場合の特徴として、
  1. 曲がれる速度がやや低い。
  2. 急な坂のアイスバーン等では上り難い。
  3. フットブレーキを掛けると直進固定となり全く曲がれなくなる。
  4. 下り坂でブレーキを使いながらゆっくり進むと路肩に寄ってしまう。
等が有ります。以下に理由と対処法を挙げます。
  1. 曲がり難い
    曲がれる速度はおおよそフロントタイヤのグリップ限界迄に限られま すので、速度を出し過ぎない様に気を付けます。
    限界を越えてしまったりブレーキを使う迄は割と普通に走行は出来ま す。

  2. 登り難い
    これは四輪チェーンでもスタッドレスでも同様でして、FR 車 固有です。
    グリップ力は荷重が多いほど強く、逆に荷重が低いと弱くなります。 FR 車は駆動輪と車の中で最も重いエンジン部分とが丁度反対側になり ますので、FF や 4WD でギリギリ登れる様な極端な坂では登れなくな る可能性も有ります。通常のスキー場へ行く程度の道ならばまず大丈 夫でしょうが、宿の近くで裏道的な場所だと無いとは言えません。

    この場合は同乗者に後ろの席に乗って貰うなり、重そうな荷物をトラ ンクの後ろの方に移動して少しでも駆動輪に荷重が掛かる様にして みるとか、短い坂ならば手前から少し勢いを付けてみると かします。また、雪深い場合は逆に同上者に降りて貰い車体を軽くす る事でそれ以上埋もれない様にして、自車が作った轍の上をバック してみます。どうしても駄目な場合は周り道をするか宿の人に頼 んで牽引して貰います。

  3. ブレーキを踏むと直進する
    車は前進時の通常時のブレーキングでは、フロントに荷重が掛かり前 輪の方がグリップ力が大きくなる為に主にフロントで制動しています。 ブレーキ自体もフロントの方がリヤよりも良く効く様に設計されてい るので理に叶ってはいるのですが、これが後輪チェーン装着時には逆 に仇になりブレーキを踏むとフロントがすぐにロックしてしまいます。

    ロックをすればハンドルを幾ら切っても直進してしまいますし、グリ ップの弱いフロントすらロックしない程度の弱いブレーキングでは車 は全く止まれませんから、"曲がる" 事と "減速する" 事は完全に 独立して行なう必要が有ります。つまり、止まる場合(含:強く 減速する場合)は、フロントタイヤのロックは気にせずに直進 しながらリヤタイヤ側で減速します。一つ低いギヤに入れて エンジンブレーキを併用するのも効果的です。サイドブレーキは リヤタイヤのみ効きますのでかなり効果的ですが、有効に活用するに は或る程度の慣れが必要となります。ある程度の速度が出ている場合 には、それなりの自信が無い場合はサイドブレーキは使用しない方が 無難でしょう。

  4. ブレーキを弱めると路肩へ寄る
    これは基本的には四輪スタッドレスのみの場合でも同様でして、滑り 易い路面状況下で FF/FR を問わずフロントにチェーンを巻いてい ない車全てに共通する傾向が有ります。
    この状況は主にスキー場からの帰り道の下り坂での渋滞や、立体交差 の下り部分等で暫々遭遇します。フットブレーキを使用しながらの前 進で且つ慣性が付くほどの勢いは無い場合、前項 と同じ理由によりハンドルをどんなに切っても直進ではなく一番下っ ている方向に車は進みます。多くの場合路肩の方が低いので路肩のガ ードレールの方に行ってしまいますが、バンクの付いている右カーブ の様な右に路面が傾いている場合は対向車線の方に進んでしまったり もします。

    フロントをロックさせてしまうのが原因ですから、フットブレーキで の制動は行なわずにブレーキ灯の点灯程度に留め、サイドブレーキを メインにチェーンの有る後輪で制動し前輪はフリーに回転させながら ゆっくりと前進するのが良いと思います。

    具体的には、以下の様に行なうと良いでしょう。
    1. フットブレーキを踏んで車を一旦停車する。
    2. ステアリングを直進状態に戻す。
    3. フットブレーキを踏んだままサイドブレーキを引く。
    4. フットブレーキを完全に離す。
    5. サイドブレーキを静かに少し緩めながら下り坂を前進。
      フットブレーキに触れない間はある程度ステア操作が効きます。

    ※この時、車が少しでも不安な挙動を示したら、すぐにフットブレ ーキを踏んで車を停車させ、停車した後に再度最初から繰り返し ます。また、サイドブレーキを使用する場合は、引いた状態でロック してしまうと咄嗟の時に戻す反応が遅れてしまったりしますので、い つでもすぐにブレーキを戻せるようにロック解除ボタンを押し続け たまま行ないます。

余談ですが、雪が若干深くて進めない様な所へは近付かないのが原則ですが万 一ハマってしまった時は、FR 車ではバックで動けるか試してみましょ う。雪道では ABS が生きていると前方に雪塊のダムを築けずに中々止まれない ケースが有るのと同様な理由で、駆動輪が前側に有ると雪を踏みつける事で進 める場合が有ります。


4WD 車:

四輪駆動車は、様々な理由から一般的にはフロント側にチェーンを巻きますの で、FF車の場合とほぼ同じ注意が必要です。FF 車の項目 を参照して下さい。
※車種に依っては後輪指定のものも有るかもしれませんので、まずは取り扱い 説明書で確認した方が良いでしょう。


FF 車:

車は一般的には、かなりの割合を前輪に頼っています。カーブを曲がるのもそ うですしブレーキングを行なうのもまたしかりです。しかし、後輪も車の姿勢 の安定(直進性)にかなりの貢献をしています。FF 車でのチェーン装着時は、 この安定を担う後輪の働きが相対的には弱い事を充分に意識して運転する様に して下さい。
まあ、FR 車の後輪チェーンの様に加速も減速も弱 かったりはしないので、スタックし難い点では FF の方が安心と言えば安心で すが..

FF で二輪のみチェーンを装着した場合の特徴として、
  1. 発進・加速はまず安心。
  2. サイドブレーキが一切使え無い。
  3. カーブで車がスピンしそうになる。
  4. フットブレーキを掛けると車が後ろを向きたがる。
等が有ります。以下に理由と対処法を挙げます。
  1. 発進・加速が良い
    車検証で確認してみると良く判ると思いますが、基本的に車は前軸重 量(前前軸重)の方が大きく、駆動輪が前側に有る方がトラクション を稼ぐ事が出来てグリップが低い路面でも発進が比較的楽です。

  2. サイドブレーキは引かない
    ごく一部の特殊な車種を除き、殆どの車のサイドブレーキは後輪 側を制動します。チェーンを装着しているフロントのグリップ力 に比べて後輪のグリップ力は相対的に低く、雪氷上等ではサイドブレ ーキを引いているのに車が動いてしまったりする場合も有ります。

    雪上ではサイドブレーキは一切使用しない方がつまらないトラ ブルを作らずに済みます。これは停車中に限らず駐車時もそうです。

  3. カーブで車が横を向く
    ステアリングを切るフロントはグリップが強く、追従すべきリヤはグ リップが低いので、横 G が強く掛かるとリヤ側から先に滑ります 。この為、車がスピンしそうになったりする場合も有りますので 注意します。

    この傾向は荷重がフロント側へ移るほど顕著になります。急なアクセ ル OFF 時とか制動時、下り坂等ですね。逆に見れば、加速中は荷重が リヤ側へ寄る上にフロントが車体全体を進行方向へ引っ張りますので 横を向き難くなります。FF 車はカーブ中では常に軽くアクセル ON で曲がる様にします。カーブ中に軽く加速できる状態にする為に、 カーブの手前の直線部分で充分に速度を落してからカーブに入 る様にしましょう。

  4. ブレーキで車が後ろを向く
    前項とほぼ同じ理由なのですが、ブレーキを掛 けるとチェーンでグリップの良いフロント側は強く制動しますが、グ リップの低いリヤは余りうまく制動出来ません。つまり後輪が前輪 を追い越してしまいそうになります。基本的には直線での制動は それほど顕著な影響は出ませんが、僅かに横 G が掛かっていたり、路 面等が荒れていて平坦ではなかったりすると車が後ろを向こうとして しまいます。

    強い制動を控えるか、車を直進するように保ちながら制動します。

FF 車は、4WD 程では有りませんが、基本的に雪道には強いです。但し 4WD 等 でもそうですが、注意すべきは有利なのは主に加速のみと言う事で、制 動時には駆動輪が何処に有るかは殆ど関係が無く、どの駆動方式でも似たり寄 ったりの結果となります。つまり、FF 車は雪道では加速し易く減速し難い とアンバランスな点に留意します。常に減速時の事を忘れない様にして下 さい。


思いつきですがここで一つクイズでも.. FR 車 + R チェーンでカーブ中にや や強めにブレーキを踏むといきなり直進してしまいますが、では FF 車 + F チ ェーンでカーブ中にやや強めにブレーキを踏んだ場合はどうなるでしょう?

仮に左カーブでブレーキを踏んだとすると、

  1. フロントを軸にする感じで左回転してしまう
  2. 直進する
  3. フロントを軸にする感じで右回転してしまう

このうちのどの挙動となるでしょうか?

答を見る。


全般:

その他の事について少々..


チェーンの種類:

チェーンを選ぶに当たって何を優先するかにも依りますが、強いて挙げれば以 下の二者でしょうか。
マカロニスパイクピン付き亀甲型プラスチックチェーン(バイアスロン)
乾燥路・積雪・氷雪・加速・減速・コーナー等、トータル的な性能面 で安定。スタッドレス程では無いが、やや高価(20,000円位)。メンテ ナンスは特には不要だが収納はやや嵩張る。乾燥路走行も含めて長寿 命。
チェーンとしては薄い方に入るのでハンドリングの変化がまだ少しは マシだとか、フェンダーに当たる率が少ない等のメリットも有ります。

但し、これはどの非金属チェーンでも同じ注意が必要ですが、装着時 にチェーンが周囲に接触したりしないか充分に確認を行なって 下さい。通常は充分に長い寿命を持ってはいますが、ショックアブソ ーバやフェンダー縁、マフラーの遮熱板等に僅かに接触しているだけ でも、いとも簡単に切れてしまう場合が有ります。
あと、非金属性の多くのチェーンもジャッキアップ不要を詠っていま すが、大抵はジャッキアップして一気に巻いてしまった方が早く楽に 出来たりします。AT 車はサイドブレーキが充分引いてあるかを確認し た上で、 P ポジションでは無く N ポジションにして作業するとタイ ヤを回して取り付けを行なえるので楽です。
最近のバイアスロン・クイック55 と言うシリーズは、本当にジャッキ アップが不要で、車も全く動かさずに装着出来る様になったみたいで すね。

梯子型金属チェーン(特にはメーカー問わず)
廉価(3,000円位)。コンパクトに収納。保管は CRC を掛けておく程 度で OK。発進ではスタックし難いが、カーブや減速が不得手。振動 が多く、且つチェーンが暴れてホイールやフェンダーハウス内を攻撃 する事が有る。

おまけ:スタッドレスタイヤ
性能面で安定。雨天時や氷上面ではやや不安。チェーンに比べると高 価(40,000円位)。寿命は距離では無く主に経年(3シーズン位)。

最終的には使用頻度と懐具合で決まると思います。(^^;

雪中ドライブ記を読む。

Last Update : 15-Jan-1998    (Access count 07-Jan-1998〜) : counter

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